電子レンジのマイクロ波加熱解析事例
容器蓋に金属層を含む場合
マイクロ波加熱は、周波数が300MHz~3THzの電磁波(マイクロ波)を被加熱物(誘電体)に照射し、被加熱物自身が発熱します(誘電損失)。
マイクロ波は被加熱物全体に照射されますが、実際にどの程度均一に、どの程度まで内部に浸透しているか、実際に試作して測定すると、それなりの時間と費用が必要になります。
試作の代わりにPC上で必要なケースの解析モデルを作成し、計算するだけで、装置の形状、 導波管の数/位置、被加熱物の配置などの諸条件を、短時間/ローコストで最適化することができます。
このマイクロ波加熱の例題として、電子レンジ内に水の入ったポリプロピレン(PP樹脂)の容器を設置し、マイクロ波照射時の発熱分布を評価解析してみました。
PP樹脂の容器の蓋を、PP樹脂のみの場合と、PP樹脂/アルミニウム(Al)/PP樹脂の2種3層構造から成る場合の2通りについて高周波電磁界解析ソフトウェアF-WAVEで評価解析を行いました。
解析仕様
電子レンジ内寸法:幅 340 x 奥行 350 x 高さ 240 (mm)
導波管の内径:70 x 70 (mm)
マイクロ波の周波数:2.45 GHz
収納容器寸法:110 x 110 x 高さ65 x 厚さ 0.5 (mm)
収納容器材質:PP樹脂:比誘電率 = 2.17/誘電正接 = 0.0002/透磁率 = 1
上側蓋:PP樹脂またはアルミニウム(全反射)の2通り
容器の収納物:25°の水 100cc (比誘電率 = 76.7/誘電正接 = 0.16)
容器設置位置:電子レンジ内の中央
電子レンジ内法
導波管の位置
上側蓋:PP樹脂単体
上側蓋: PP/Al/PPの二種三層樹脂
上側蓋の構造
解析モデル
モデル全体
収納容器と水
収納容器と水とAl
( ※ 今回の解析では、Alは完全導体と仮定し、全表面に全反射境界条件を設定しました。 )
解析結果
電界分布コンター図/モデル全体/上側蓋:PP樹脂のみ
電界分布コンター図/水を収納した容器/上側蓋:PP樹脂のみ
電界分布コンター図/収納容器のみ/上側蓋:PP樹脂のみ
発熱密度分布コンター図/水を収納した容器/上側蓋:PP樹脂のみ
発熱密度分布コンター図/収納容器のみ/上側蓋:PP樹脂のみ
電界分布コンター図/モデル全体/上側蓋:PP/Al/PPの二種三層構造
電界分布コンター図/水を収納した容器/上側蓋:PP/Al/PPの二種三層構造
発熱密度分布コンター図/収納容器のみ/上側蓋:PP樹脂のみ
電界分布コンター図/収納容器のみ/上側蓋:PP/Al/PPの二種三層構造
発熱密度分布コンター図/水を収納した容器/上側蓋:PP/Al/PPの二種三層構造
発熱密度分布コンター図/収納容器のみ/上側蓋:PP/Al/PPの二種三層構造
この評価解析は高周波電磁界解析ソフトウェア F-WAVE で行いました。
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