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誘導加熱解析

誘導加熱解析を行なうためには、磁場/磁界解析だけではなく、熱伝導解析、熱応力解析などとの連成解析(マルチフィジックス解析)が必要です。
誘導加熱は、「ファラデーの電磁誘導の法則」を利用して、金属などを加熱することです。

誘導加熱の原理

誘導加熱装置の身近な例としては、電磁調理器(IH調理器)があります。この調理器は、外部からの熱源で加熱するのではなく、内部あるいは周辺にセットされたコイルに交流電流を流すことにより、被加熱物内に渦電流が発生し、発熱が起こります。 外側から対流/輻射/伝導などによる加熱で昇温するのではなく、調理器自体が発熱します。この加熱方法は誘導加熱と呼ばれています。

この誘導加熱装置を最適に設計するためには、その発熱現象が起こるプロセスを解析(シミュレーション)ソフトウェアで確認しながら行うと便利です。シミュレーションでは、加熱コイルなどの装置の形状寸法を自由自在に設定し、結果起こる現象を可視化により確認できますので、可能な範囲で最適な設計を行なうことができます。

発熱は渦電流解析(渦流損解析)で、時間とともに変化する温度は熱伝導解析で求めます。
これは誘導加熱連成解析と呼ばれます。

連成解析につきましてはこちらへ

お互いに関連づけながら行ないますので、この操作性の良し悪しが大きなポイントとなります。

この誘導加熱シミュレーションでは、装置部材の形状寸法を自在に設定し、生じる現象を可視化できます。
したがって、実験試作では計測できなかった箇所の温度分布も把握できます。

誘導加熱連成解析は以下のステップで解析を行ないます。
①交流電流により生じた渦電流のジュール損発熱(誘導発熱)を求めます。
②発熱密度データを基に熱伝導解析を行ない、温度分布とそれに基づく熱応力を求めます。

ここで誘導加熱解析の一例を紹介します。
下図のような誘導加熱装置を想定します。

誘導加熱装置例 (誘導加熱/熱伝導/熱応力連成解析)

誘導加熱装置例 (誘導加熱/熱伝導/熱応力連成解析)

このモデルは軸対称ですので、先ず下図のような2次元軸対称モデルの解析を行ないます。
[F-MAG]にソリッドモデルを読み込み、形状選択画面で[2次元軸対称モデル]を選択します。
そして、物性定義、メッシュモデル作成、荷重と境界条件の設定、計算と、タブの順に操作します。

最初にコイルに直流電流を印加すると、周囲には以下の理論式に基づく磁束密度分布が生じます。

𝐻 = 𝑛𝐼   H:表皮層の厚さ(m) n:コイルの巻数 I:コイルの電流値(A)

𝐵 = μH  B:磁束密度(T) μ:真空の透磁率 H:磁界強度(A/m)

今回は「外層材」のみ磁性体ですので、下図のように「外層材」の磁束密度が高まります。

磁束密度分布 (単位:T)

次にコイルに交流電流を印加しその周波数を高くすると(今回は50KHz)、磁束が磁性体の表面に集中します。
これは表皮効果と呼ばれ、その厚さ(表皮層)は表面から渦電流が1/eに減少する距離になります。
式で表すと以下の様になります。

  δ:表皮層の厚さ(m) σ:電気伝導率(S/m) μ:透磁率 f:周波数(Hz)

今回の表皮層の厚さは、約100μmになります。

磁束密度分布

磁束密度分布 (単位:T)

また、周囲には誘導起電力(逆起電力)が発生します。

  V:誘導起電力(V) N:コイルの巻数 Φ:磁束(Wb)
渦電流密度分布

渦電流密度分布 (単位:A/m2)

各部材に渦電流が流れると、発熱します。
発熱密度は渦電流の二乗に比例し、電気伝導率に反比例します。

𝑾= J2 /S    𝑾 :発熱密度(W/m3) J:渦電流密度(A/m2) S:電気伝導率(S/m)

発熱密度分布

発熱密度分布 (単位:W/m3)

次に、 3次元誘導加熱解析を行ないます。
同じソリッドモデルをF-MAGに読み込み、形状選択画面で[3次元フルモデル]を選択します。
そして、2次元軸対称モデルでの解析手順と同じように、タブの順に操作します。

形状選択画面 (F-MAG)

形状選択画面 (F-MAG)
磁束密度分布コンター図<br>(背面材/単位:T/F-MAG)

磁束密度分布コンター図
(外層材/単位:T)

渦電流密度分布コンター図 (背面材/単位:A/m2/F-MAG)

渦電流密度分布コンター図
(外層材/単位:A/m2)
発熱密度分布コンター図 (背面材/単位:W/m3/F-MAG)

発熱密度分布コンター図
(外層材/単位:W/m3)

ここまでは[F-MAG]を使用して渦電流のジュール損発熱(誘導発熱)を求めました。
次に、同じ[ Simcenter Femap ] 上の[Nastran]で熱伝導解析を行ない、温度分布を求めます。
最後に同じく[Nastran]で温度分布に基づく熱応力解析を行ない、応力分布を求めます。

 温度分布コンター図 (背面材と銅/単位:℃/NX Nastran)

温度分布コンター図
(内層と銅/単位:℃)
 変位分布コンター図 (背面材と銅/単位:mm/NX Nastran)

変位分布コンター図
(内層と銅/単位:mm)

被加熱物の透磁率、電気伝導率に温度依存性がある場合には、温度分布計算後にそれらの物性を変更するかどうか確認が必要になります。

[連成解析]につきましてはこちらへ

この作業の自動化を図り、簡単に強連成解析ができる環境を実現しました。
熱伝導解析の結果と磁界解析側の物性を各時刻ステップごとに照合し、磁界解析を再度行なうかどうかを判定しながら、最後の時刻ステップまで動磁界解析と熱伝導解析を繰り返し行ないます。

電気伝導率の温度依存性  物性の温度依存性

物性の温度依存性につきましてはこちらへ

[ F-MAG-IH ]は温度計算を行う毎に物性の変更が必要かどうか確認し、必要があれば自動的に変更して計算を続けます (強連成解析機能)。

F-MAG-IH
誘導加熱解析ソフトウェア[ F-MAG-IH

誘導加熱解析ソフトウェア[ F-MAG-IH ]
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